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日本語教師の職業訓練(日本語教師養成講座420時間)について

2017年6月8日

日本語教師を目指す方が対象のコースです。
このコースは主に求職者支援訓練で開催され、主に6ヶ月コースが中心です。

比較的長いコースの理由としては、
「日本語教師養成講座420時間コース修了」の要件が得られるからです。

日本語講師の求人を見てみると、多くの求人がこの

・「日本語教師養成講座420時間コース修了」
・「日本語教育能力検定試験の合格者」

上記いずれかを応募条件にしています。

この日本語教師養成の420時間とは、文化庁が示した「日本語教師養成のための標準的な教育」方針に沿った講座のことを指します。

民間の学校もこの養成講座420時間コースが中心となっています。

このコースを民間で受講するとなると、教材費込で約50万から60万円かかります。
もちろん職業訓練では教材費のみで受講料は無料です。

 

訓練内容

訓練目標
外国人の日本語学習者に対し最新の教育理論に基づき、合理的、能率的に日本語を教えることができるようになる。

訓練コース内容(例)「日本語教師養成科(5ヶ月コース)」

科目 科目の内容 時間
学科 安全衛生 安全で健康に働くための職場環境、安全・健康面の日常の注意点 2
就職支援 応募書類の書き方指導、面接時の心構え、模擬面接 16
言語学概論 ソシュール、ブルームフィールド、チョムスキーの言語学、生成文法、意味論、語用論 28
対照言語学 日本語英語対照、日本語中国語対照、日本語韓国語対照、誤用分析 20
社会言語学 社会と言語、方言、ポライトネス理論、世界の言語状況 16
音声学 母音、子音、音素と異音、五十音図、韻律、アクセント、イントネーション、プロミネンス 40
日本語文法 品詞、動詞、形容詞、副詞、助詞、数量詞、指示詞、疑問詞、可能、受身、使役、テンスとアスペクト、モーダリティ、複文 44
語彙意味 語の形成、語の構成、語種、位相、待遇表現、辞書、類義語、反意語、多義語、慣用表現 28
文字表記 漢字、仮名遣い、送り仮名、外来語 16
日本語史 音韻史、文字史、文法史、語彙史、文体史、研究史、教育史 16
教授法概論 日本語と国語、国内外の日本語教育、日本語教育関係機関、外国語教授法、言語習得、バイリンガリズム、異文化理解、CEFR、教師の自己研修 44
評価法 評価の種類、いろいろなテスト、良いテストの条件、評価方法、テストの処理、分析、改良、作文添削、新しい評価法 20
実技 初級教授法演習 初級の定義、授業の準備、授業の流れ、教材教具、「最初期の単文」を教える、「動詞の活用」を教える、「語多出の項目」を教える、モーダリティを教える、連語を教える、一つの課をどう教えるか、教案を書く、初級教科書分析 66
中上級教授法演習 中上級の定義、授業の進め方、語彙指導、読解指導、文法指導、会話指導、中上級教科書分析 36
技能別教授法演習 文字、語彙、読解、聴解、会話、作文、日本文化、日本事情の指導 36
教育実習 指導教員とともに教案を作成し、模擬授業を行った後、実際に初級クラスで教える。 40
パソコン基礎実習 基本ソフト(Windows 7)のウィンドウの操作、ファイル操作、各種設定、インターネット・メール操作 6
文書作成基礎実習 文書作成ソフト(Word2013)の起動と終了、文字の入力と編集、印刷、文書の書式設定、図と罫線の作成、文書の保護、テンプレート、表・グラフ、セクション 12
表計算・グラフ作成基礎実習 表計算・グラフ作成ソフト(Excel2013)の起動と終了、基本操作、数式の入力、装飾とレイアウト、印刷、グラフ、図の挿入 12
プレゼンソフト操作実習 プレゼンテーションソフト(PowerPoint2013)の起動と終了、プレゼンテーションの作成と管理、図形やスライドの挿入と書式設定、スライドコンテンツの作成、画面切り替えやアニメーションの適用 12
その他 職業人講話 6
訓練総時間:516時間

日本語講師

主な取得可能資格

日本語教育能力検定試験

◆受験者数・合格率

受験者数 合格者 合格率
2018年(平成30年) 6,801人 1,937人 28.5%
2019年(令和元年) 9,380人 2,659人 28.3%
2020年(令和2年) 9,033人 2,613人 28.9%
2021年(令和3年) 8,269人 2,465人 29.8%
2022年(令和4年) 7,054人 2,182人 30.9%

◆男女別推移

◆年代別推移

引用:日本国際教育支援協会

※日本語教育能力検定試験とは、民間資格です。
日本語教育に携わる者として基礎的な水準に達していることの証明です。

主の就職先の業種、職種

・日本語学校

日本語教師(講座)のメリット

  • 通信教育などでは学べない実技が充実していること
  • 「日本語教師養成420時間修了」の講座であること
  • 留学生の数に比べて教師が不足している(海外でも日本語教師不足)
  • 教師という仕事にやりがいを感じる(多くの人がここを一番大切にしている)
  • 日本のこと、日本語を世界に伝えられる(ボランティア精神が必要)
  • 語学力がなくてもよい(異文化コミュニケーションの方が大切)

日本語教師のデメリット

  • 待遇が安定しない(仕事の増減が多く概ね週20時間程)
    ・授業時間以外で行なう授業準備、宿題・テストの採点、進学就職指導などは給料に反映されないところが多い
  • 学歴を問われる求人が多い
    ・日本語教育能力検定試験合格(短大卒以上)
    ・日本語教師養成講座420時間修了(四年制大卒以上)

日本では日本語教育能力検定試験合格や日本語教師養成講座420時間修了が必須ですし、経験や学歴も絡んできます。

その割に待遇は良いとは言えません。しかし海外で働く場合はそのような資格は必要なく、本人の実力次第です。「思い切って海外に出てみる」という選択肢もありなのかもしれません。

まとめ

日本語は非常に難しい言葉です。

あげる」という言葉ひとつでも幾つもの意味があります。

・声をあげる
・物を(上に)あげる
・拳をあげる(訴える)
・テンションをあげる
・天ぷらをあげる
・人に(物を)あげる......等

日本人の場合は、前後の意味やその場の状況で意味を理解することはできます。
ですが何もわからない外国人にひとつひとつの意味を理解してもらうのは大変なこと。

このコースではいかに「日本語の意味をわかりやすく伝えられるか」を学びます。

そのためには「日本国」についても詳しく知らなければなりませんし、日本語の文法も正確に覚えていなければなりません。わかりやすく伝えるテクニックも必要です。

実際に申込する受講生は、中高年が中心です。
応募の数も他の職業訓練コースよりは多い傾向にあります。人気のコースです。
日本語教育能力検定試験の受験者数も年々増加しています。

今後講師としての需要は増えると思いますが、正社員の数は少ないのが現状。
最初はコマ単位での契約となり、経験を積むことで終日勤務というような働き方になるでしょう。
2つの学校の掛け持ちもあるかもしれません。(実際に多い)

生徒は外国人ですが、全て日本語で授業を行うので外国語は必須ではありません。
これから更に国際化が進み、多くの留学生が日本語を学びに来日してきます。

非常にやりがいのある仕事になるでしょう。

 

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