医療事務は女性に人気のあるコースです。
医療事務とは、病院や診療所での受付や会計、レセプト業務、カルテ管理、クラーク業務等を行なう仕事です。
職業訓練では、医療事務や診療所、調剤薬局、介護事務等で必要な実務や接遇などを勉強します。
受付は病院の「顔」です。受付は患者が病院で初めて会う相手です。対応次第で病院や診療所の印象が大きく変わります。
患者は普通のお客とは異なり、大きな不安や心配を抱えている場合が多いです。そのため傾聴や共感で患者に寄り添う必要があります。他にも医者や看護師、患者との間に入り立ち、さまざまな事務作業をこなす必要があります。個人情報の取り扱いにも注意を払わなければなりません。
レセプト業務については、医療費の7割(3割は患者負担)を保険組合に請求するために必要な書類を作成する一連の業務です。
レセプト(診療報酬請求明細書)を作成し、そのチェックも行い、毎月決められた期日までに国民健康保険団体連合会(国民健康保険)や健康保険組合、共済組合等(社会保険)に提出します。
■目次
医療事務の対象者
医療事務の知識を習得し、医療機関への就業を目指す方が対象です。
医療機関や調剤薬局、介護施設での受付・会計・窓口業務及び診療報酬請求事務に必要な基礎知識並びに応用技能を取得し、検定試験の合格を目指します。
さらに、医療機関におけるメディカルマナーや接遇をロールプレイングを通して体得し、即戦力として活躍できる人材を目指す
訓練内容
各コースによって具体的な内容は異なりますが、医療保険制度を理解し、病院・診療所における受付・診療費計算・保険請求までの医療の領域における点数計算等を学んでいきます。
コース例1.医療・調剤・介護養成科コースの訓練内容(3ヶ月コース)
科目 | 科目の内容 | 時間 | |
---|---|---|---|
学科 | 医療保険の概要 | 医療保険制度、医療保険の種類、各種保険法の理解 | 18 |
診療報酬請求概論 | 受付事務・請求事務、診療報酬点数表の読み取り、診療科の理解(医学管理、在宅医療、投薬、注射、処置、ハビリテーション、精神科専門療法、放射線治療、手術・麻酔、検査、画像診断、入院)、医療担当者の心得 | 111 | |
診療報酬明細書の作成 | 外来・入院会計の理解、医療費算定、実務症例演習、医療費算定計算、会計欄作成、レセプト作成、レセプト点検業務 | 30 | |
調剤事務講習 | 医療保険と薬剤の基礎知識、薬剤科の計算、調剤基本料と調剤料、レセプトの記載方法、薬学管理科 | 48 | |
介護保険の概要 | 介護保険制度概論、給与管理業務の実際、他制度との関係、介護報酬の基礎知識 | 6 | |
介護報酬請求事務 | 介護報酬の算定、給与管理業務の流れ、給与管理業務の帳票記載、介護給付費明細の作成方法 | 42 | |
実技 | 医療事務コンピュータ | 新規患者登録、検索、領収書発行、診療報酬明細書発行、請求書発行、レセプト点検業務 | 30 |
コース例2.医療事務ドクターズクラーク養成の訓練内容例(3ヶ月コース)
科目 | 科目の内容 | 時間 | |
---|---|---|---|
学科 | 医療保険の概要 | 医療保険の仕組みと内容 | 12 |
点検算定解釈・練習 | 診療報酬点数算定解釈方法・練習 | 84 | |
患者接遇 | 病院で必要な接遇マナー | 6 | |
診療報酬明細書 | 診療報酬書(レセプト)作成の基礎・作成・点数練習 | 36 | |
医療事務総復習 | 総復習・試験問題対策実践 | 30 | |
医療保険制度・医療関連法規 | 医療保険制度・医療関連法 | 12 | |
医学一般・薬学一般 | 医学・薬学の基礎知識 | 12 | |
医師事務作業補助業務 | 診療録記録・各診断書・申請書・証明書・個人情報 | 28 | |
医師事務総復習 | 総復習・試験問題対策実践 | 23 | |
受付窓口英会話 | 窓口での基本英会話 | 4 | |
実技 | 医事コンピュータ明細書作成 | レセプト作成、発行 | 48 |
車椅子操作・杖歩行介助方法の基礎 | 車椅子操作の基礎、杖歩行介助、視覚障害者歩行介助の基礎 | 11 |
主な取得可能資格
医療事務の関連資格は80種類以上もありますが、全て民間資格になります。国家資格はありません。
なぜこれほどまでに多くの資格があるかというと、資格運営団体がそれだけ多いからです。
自団体の利益や権威付けのために独自の資格制度を作っています。
その中でも比較的評価されている資格が「診療報酬請求事務能力検定試験」です。
また、医療事務は2年ごとに診療報酬改定がありますので、継続的に勉強し続けなければなりません。
各資格の内容
◆診療報酬請求事務能力検定試験
資格名 | 診療報酬請求事務能力検定試験 |
---|---|
試験日程 | 年2回(7月、12月) |
試験場所 | 全国17都市 |
合格率 | 28.5%(第56回 2022年7月) |
受験料 | 9,000円 |
問合せ先 | 公益財団法人 日本医療保険事務協会 |
◆診療報酬請求事務能力検定試験実績(医科)
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
第53回(2020年12月) | 5,378 | 2,304 | 42.8% |
第54回(2021年7月) | 3,138 | 1,177 | 37.5% |
第55回(2021年12月) | 4,913 | 1,934 | 39.4% |
第56回(2022年7月) | 2,313 | 673 | 28.3% |
◆他にも代表的なものとして以下のような資格があります。
- 医科医療事務検定試験
- 介護報酬請求事務技能検定
- 調剤報酬請求事務技能検定
- メディカルクラーク
- メディカルドクターズクラーク
- メディカルオペレータ
主の就職先の業種、職種
医療機関における受付、病棟クラーク、入退院受付業務、会計業務、請求事務等
- 病院
- 診療所
- 調剤薬局
- 福祉施設
求められている仕事内容
医療事務や調剤事務に共通として含まれている仕事内容といえば、受付、会計、レセプト業務、パソコン操作 は必ず仕事内容には含まれています。
※求人情報誌からの抜粋
- 入院手続、外来手続、受付全般、クラーク(病棟)
- 薬剤師補助、パソコン入力、受付、伝票整理・集計、その他
- クリニックの受付、会計、健診の受付、会計、・電子カルテの入力、・レセプト総括
- 受付・会計・請求事務・健診対応など
- レセコン入力などの医療事務、パソコン(エクセル・ワード)、一般薬・健康食品類の販売
- レセプト業務、電話対応、そのほか必要に応じた事務業務
- 受付事務、書類作成やデータ入力、社内文書の管理保管など眼科のレセプトチェック
- 医療事務、受付事務、一部看護助手業務、要簡単なパソコン操作
- 受付窓口、会計対応、電話応対、医事業務(電子カルテ使用)、書類作成整理、保管、治験事務業務、レセプト業務
- 調剤薬局受付、患者様応対・電話応対、データ入力、レセプト請求業務、物販、他店舗応援、その他薬局運営業務
- 内科クリニックの受付け及び会計、毎月のレセプト請求業務(オンライン請求)、隔日で診療所内の清掃
まとめ
医療事務の仕事は女性に人気の仕事です。
比較的身近に病院や診療所等があるため、パートを希望している方も多いです。
医療事務の求人数について
ハローワークインターネットサービスにて検索すると(フリーワード:医療事務 調剤事務 調剤薬局 介護事務)、かなりの数の求人が出ています。全国的にも求人数は多いと言えるでしょう。
希望する職種にて『医療事務・受付、調剤薬局事務、介護事務』を選択
全国で正社員検索:12,967件
全国でパート検索:10,455件
※2023年2月現在
医療事務の必要な経験について
どの求人もそうですが、やはり即戦力を求めている求人が多いです。
ですが、医療事務の場合は経験がなくても「資格があればOK」のところや「未経験者でも可」も求人が多く見られます。
職業訓練校で必要な知識を学び、その間に資格を取得すれば就職できる可能性は高いと思いますが、パソコンの基礎的なスキルは必須です。
給与や働き方
正社員やフルタイムの場合、医療事務は他業種と比べて低めです。
東京の場合、20万円~25万円が中心ですが、地方では16万~22万くらいの求人が多いです。
もちろん経験をつめば昇給も見込めます。
働き方については、シフト制も多くあります。
8時頃から19時頃の診療時間を2交代もしくは3交代で勤務していきます。
病院や診療所は19時くらいまで診療しているところが多く、家族やお子さんがいる場合はそこがネックになるでしょう。日曜日休みは多いですが、土曜日は出勤しなければならいところも多いです。